【INTERVIEW】「企画展示」New Style New Artist- アーティストたちの新たな流儀。関口 敦仁 氏 インタビュー

10/15より、メイン会場を「アーツ千代田 3331」。サテライト会場を「UDX THEATER」「NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] 」「国立新美術館」「千代田区立日比谷図書文化館」で開催されている「文化庁メディア芸術祭20周年企画 – 変える力」。今回は、関口 敦仁氏(美術家/愛知県立芸術大学教授/元アート部門審査委員)に文化庁メディア芸術祭を通じたこれまでの作品表現とNew Style New Artistをテーマに、新しい時代の変化とメディア表現の流れについてお話を伺った。
 
※「文化庁メディア芸術祭20周年企画 – 変える力」のレポートもあわせてご覧下さい

今回、20周年展示会のテーマとして「変える力」とありますが、
どういったメッセージがあるのでしょうか。

20年ということと情報技術というものが急速に変化する様子を目の当たりにし、文化庁メディア芸術祭のアート部門とエンターテインメント部門を見たときに、違う側面が見えてくるのではないかということ、また、それに影響を受けながら表現そのものが様々な見え方の理解を変えていくのがあるではないかということで今回のテーマが設定されています。

アーツ千代田3331の会場では10のセクションに分かれて展示されていますが、見所などご紹介ください

アート部門に関しては、最初のセクションでは情報と身体と社会の関係性から作品のメッセージが出てきているのでそういった部分の変化を整理しながら鑑賞の導入口を設けています。また、後半では技術的側面からのアプローチの作品のセクションを見ることができます。

近年の時代の流れや変化が文化庁メディア芸術祭を通して、どの様にうつってきているでしょうか

一人一人でみるとSNSなども含めて、インターネットが20年のうちに一気に広がり、個人の社会との関わり方、つながり方がみんなで繋がってるという感覚をイメージしてるところがあると思いますが、メディア芸術祭が始まった頃は、そうなるんじゃないかというある程度予想していた部分と、もともとインターネットではない部分での世界を接続していた表現が、具体的に繋がった時にどういうふうな表現になるかという点で、見え方が変わってくるのでそう言った部分を感じ取っていただいて表現の変化が見えてくると面白いのではないかと思います。

NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]のサテライト会場では、
どういったものが特徴的でしょうか

この20年の間、メディア芸術祭が始まった頃に、学生を終えたりした人たちがある程度、作品を発表するためにグルーピングしたりし、ちょうど20年の半分ぐらいのタイミング、10年目ぐらいに法人化したりと色々な組織のグルーピングがされ、20年経ってみると全体の人の動きや個別の動向からでは見えなかったことが見えてきています。そういう中で、「New Style New Artist – アーティストたちの新たな流儀」のほうでは、アーティストグループたちが同じように見えても、実際に並べてみるとターゲットしている分野や、違いをはっきりする部分が見えてくると思います。

そういったターゲットの部分を、深掘りしていくと特徴的なものは何ですか



 
WOWは、ビジュアルデザインを軸にし、現物のものへと活動を広げていった結果。現在の活動のような表現の形になっている思いますし、それをまたビジュアルデザインの方へ戻しながら繰り返してる様子が伝わってきます。彼らが面白いのは、生活や都市というもの、街全体をどのようなインターフェースとして捉えていこうかという意図が見え隠れしていて、それを先行的にビジュアルデザインとして提示している様子がわかるんですね。それをビジョンとしてつくって、自分の仕事表現に後から重ねていくような進め方をしている印象があります。
 


 
Rhizomatiksの場合だと、パフォーマンスというか、ライブのフィールドという中で何が伝えられるかというのを構築しながら、様々なツールを必要に応じてつくりながら、ある程度、同時性の部分をかなり強調して表現しているのが特徴的なんだと思います。立ち位置としては、ライブクリエーションと呼べるような、リアルタイムを何かを一緒にやるような場所や空間がベースとなっていて、それで発生する作品だったりアプリケーションだったり、デバイスだったりというものが、その時々で特徴が出てきますが、その場の状況をどう作っていくかという表現が特徴的だと思います。
 


 
plaplaxだと、やっぱり、かなり早い段階で近森君がKAGEを作ったことで、あれが、どんな風にコミュニケーションのフィールドになりえるかというところで、実験を進めてきたところがあって、前身のminim++(ミニムプラプラ)が、公共的なプロジェクトとして進んでいたものがあり、筧さんが入りさらに見せ方を広げていきました。彼らは、狭い空間・場所の中で人がたまたま落ち合うような場所で、どんなコミュニティをつくるのか。アートやエデュケーショナルの部分で自らの特色を出してるのがポイントだと思います。
 


 
Takramは、彼らはテクノロジーとデザインの両方をどう次の形にしていくかというのを、狙いにしている人たちなので、そこでやはりターゲットになってるのがプロダクトデザインだと思います。プロダクトデザインというと、実際。新しいようで実はふるくて、あまり仕組みだったり、形の部分では人間が求めてるもの中で、一番、新しい形を作り出すのが難しい分野というか変わらない部分だったりするので、そこをテクノロジーを使って、価値として新しいものをつくれていくのかというのを、色々な実験を通して試してる印象があります。彼らは、道具というものに興味があると思いますし、道具というものを通して、社会へのアクセシビリティみたいなのを探ってるように思えます。それが彼らの言うところのイノベーションなんだと思います。

表現として、これからのメディアアートや制作環境というのは、どのように変わってくるでしょうか

New Style New Artist – アーティストたちの新たな流儀」で登場するような人たちは、グルーピングとして組織的な活動をしながらも、個人でも作品発表を行うことも可能なチームであることがとても印象的です。例えば、他の人とコラボレーションによって作品制作をしたりなど、多様な人との関係性を持っているスタイルがあると思ってまして、そういった特徴は、音楽で言えばセッションのようなものですし、美術の部分では中々成立してこなかった部分でも、メディア芸術・メディアアートの部分ではそういった環境や人が新しいものをつくりだしているように思えます。また、ベースとしての表現の軸が、まだやっていない分野やスタイルなども、これからもグルーピングされていくという印象に思えます。そう言った部分も含めて新しいものは、これからも出てくるのではないかと思います。

バイオアートをはじめとした、新しいテクノロジーはどう思いますか

ロボティクスや人工生命というような部分でも新たな切り口が出てくるのかと思います。現在では、バイオアートもイメージで先行している部分があると思いますが、一昔前、10、20年前のVRなどの映像技術の可能性が広がっている時と似た現象ではないかとも思えるのです。ある程度それらのイメージを解読し落ち着いた時に、そのイメージ無しに、ある程度現実的な表現技術として、もしかしたら10年、20年ぐらいかかるのかもしれませんが、様々なことが見えてきた時、また表現としての広がりをさらに大きくさせていくのではないかと感じています。逆に、イメージが先行しているからこそ、アートとして見えてくる部分があるので、結局、誰もつかめないので、もしかしたら何かあるのかもしれないというものが各人にあって、そこにアクセスしている部分はあると思います。そのような新しいテクノロジーのイメージや記号性があるからこそアートとして成立する部分もあるではと思います。

これから「文化庁メディア芸術祭20周年企画 – 変える力」に来場する方、
関心がある方へ、一言お願い致します。


 
企画当初は科学技術史的な流れで見せていこうと考えていましたが、そこは、いい意味で裏切られた部分があります。それは、昔のものも今の表現として問題定義をしている部分がはっきりしてまして、20年前に未来だと思っていたものや、20年前にこうなるのではないかというものは、そこから遡って見えてから気付かさせてくれるものではなくて、今、もう一度、問いかけてくれるものがあるので、そこをもう一度見ていただいて、体験してもらえると面白いのではと思います。

文化庁メディア芸術祭20周年企画展-変える力
会期 2016年10月15日 – 11月6日
会場 メイン会場:アーツ千代田3331
サテライト会場:NTTインターコミュニケーション・センターICC・UDX THEATER・国立新美術館 、千代田区立日比谷図書文化館
入場料 無料
主催 文化庁メディア芸術祭20周年企画展実行委員会
関口 敦仁 (美術家/愛知県立芸術大学教授/元アート部門審査委員)
1958年、東京都生まれ。東京藝術大学美術学部卒業、同大学院研究科修了。80年代より、絵画、インスタレーションを中心に活動。90年代より、CGや メディアを取り入れた制作活動を行なう。96年岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー(IAMAS)教授、2001年情報科学芸術大学院大学(IAMAS)教授、 09年情報科学芸術大学院大学長を経て、13年より現職。主にVR、ARを活用した歴史アーカイブ表示研究やデジタルファブリケーション表現研究のほかに、絵画、インスタレーション、メディアアートなどの表現活動も行なっている。