【REPORT】 変化し続けるメディアたちと時代を映す作品たち「文化庁メディア芸術祭20周年企画 – 変える力」レポート!

2016年10月15日よりアーツ千代田 3331にて、「文化庁メディア芸術祭20周年企画展―変える力」が開催されている。本イベントは、文化庁メディア芸術祭の20周年イベントとして開催されたもので、メイン会場を「アーツ千代田 3331」。サテライト会場を「UDX THEATER」「NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] 」「国立新美術館」「千代田区立日比谷図書文化館」という各所で行われており、これまでのメディア芸術を振り返り、そして未来を考えるイベントとなっている。
 

文化庁メディア芸術祭といえば、一度は耳にしたこともある方も多いのではないだろうか。今回は、そんな「文化庁メディア芸術祭20周年企画 – 変える力 」のメイン会場であるアーツ千代田 3331にフォーカスし、ダイジェストでその様子をレポートする。
※こちらのインタビューもあわせてご覧下さい

これまでの文化庁メディア芸術祭と時代の流れを感じさせるヒストリーのビジュアル達


まず、最初に目に入るのは、歴代の受賞作品を並べたビジュアル。知っているタイトルはいくつあるだろうか。
 
アーツ千代田 3331の会場では、10のキーワードに分けられたテーマに展示が行われている。それぞれのテーマは、メディアと表現の変化の様子から時代を映し出す内容を感じられる。
 
1:情報が生み出す新しい「もの」の形
2:身体と物質の再構成
3:これからの表現、その組み合わせ
4:ゲームというインタラクティブメディア
5:ウェブをキャンバスにした多彩な表現
6:ユーザーの行動が表現へ
7:「戦後マンガ史」以後のマンガ史へ
8:ポスト・インターネットの作り手たち
9:デジタルファブリケーションの普及
10:ロボットとその周辺にある表現」

 

歴代受賞作品は、文化庁メディア芸術祭の歴史を動きある映像にビジュアライゼーションさせたものもプロジェクションされている。

1:情報が生み出す新しい「もの」の形

デジタル技術が進歩する中で、本来は形を持たないと思われるメディアを用いて表現へと変化させたもの。情報が生み出す「もの」の関係性を感じることができるセクションだ。
 

第5回 (2001) デジタルアート(インタラクティブ)部門 大賞「突き出す、流れる」児玉 幸子+竹野 美奈子
 
黒い磁性流体をコンピューター制御により表現した作品。連続性あるダイナミックな動きは、見るものを惹きつけてゆく。
 

第7回 (2003) アート部門 大賞「デジタル・ガジェット 6,8,9」クワクボ リョウタ
 
体験者がテーブルをノックすると、同じリズムを真似してガジェットがノックする『duper/looper』が実物展示。小刻みに動く様子は、一度は試したくなる。

2:身体と物質の再構成

ここでは、世界中どこからでも読み出すことが可能な膨大なデータを、作品を通じて現実世界の中で「自分を見ることと世界を見ること」の意味として解釈して「身体」と「もの」の関係性を問う内容となっている。
 

第8回 (2004) アート部門 大賞 「3 minutes²」Electronic Shadow (Naziha MESTAOUI & Yacine AIT KACI)
 
真っ白な室内をイメージした凹凸のある箱状の空間に男女のドラマが映像で投影されるインスタレーション。プロジェクションマッピングを扱った表現は、想像力を喚起し、物語へと投影・没入感を与える。

3:これからの表現、その組み合わせ

変化するその時代のテクノロジーを用いて「もの」と「からだ」とメディアの新しい組み合わせによって生み出される新しい表現。特徴的な組み合わせによってこれからの表現のあり方を考えるセクション。
 

第15回 (2011) アート部門 優秀賞「particles」真鍋 大度/石橋 素
 
点滅する光源が空中を浮遊し、幻影的な残像を作り出すインスタレーション。八の字型螺旋構造をもつレールの上を、LEDを内蔵した多数のボールが次々に通過していく作品。その開発のプロセスなど動画で見ることができる展示。
 

第14回 (2010) アート部門 大賞「Cycloïd-E」Michel DÉCOSTERD / André DÉCOSTERD(Cod.Act)
 
水平方向に連結した巨大な5本の筒を回転させることで、先端のスピーカーから発する音を変化させる音響彫刻。モーターによって振り子のように動く金属管。発生する音は、予測不可能なパターンを奏でていた。

4:ゲームというインタラクティブメディア

ここでは最先端の機能をもつ据え置き型のゲーム機からモバイル、スマートフォンなどの携帯型ゲーム作品など、20年間の受賞作を通じてゲームのインターフェースの変化もみることができる。
 


受賞タイトルと合わせてゲーム機の紹介など時代の変化を感じることができる。

5:ウェブをキャンバスにした多彩な表現


会場では、Flashを用いた動的コンテンツやブラウザの機能をキャンバスとして活かした優れたウェブの作品も展示されていた。

6:ユーザーの行動が表現へ

SNSをはじめとするユーザー生成型のコンテンツ / CGM(コンシューマー・ジェネレーテッド・メディア)による作品は、多くのユーザが参加しコミュニケーションの形を提示してきた。
 

作品達は映像でスポットがあてられそれぞれの、説明をみることができる。

7:「戦後マンガ史」以後のマンガ史へ

文化庁メディア芸術祭のマンガ部門は、2003年度を境に女性作家の受賞の増加、団塊ジュニア世代以降の作家の変化が見えてくる。ジェンダーの多様性を扱った作品や戦後ストーリーマンガという、マンガ史の枠組みの更新も予感でき、海外作品受賞増加など、時代の変化があらわれている。
 


貴重な作品の原画の展示が行われていた。
 

マンガ作品を閲覧できるスペースも設けられている。

8:ポスト・インターネットの作り手たち

インターネット環境が揃い、SNSをはじめとしてウェブサービスを利用した新しい表現方法も紹介。
 

第14回 (2010) アート部門 優秀賞「NIGHT LESS」田村 友一郎
 
Google Street View™のイメージだけで構成されたロードムービー。都市と国を越えてひたすら前進しながら物語が展開する様子は、昼間にしか撮影できないGoogle Street View™の特徴から「NIGHTLESS(夜のない)」というタイトルがつけられている。
 

第16回 (2012) アート部門 優秀賞 「BETWEEN YESTERDAY & TOMORROW」SOL CHORD(前田 真二郎/岡澤 理奈)
 
東日本大震災が発生した2週間後にスタートしたウェブムービー・プロジェクト。各作家が撮影した場所や月日がアーカイヴされ、その日に起こったニュースも閲覧もできる内容だ。

9:デジタルファブリケーションの普及

3DプリンタやレーザーカッターなどのデジタルファブリケーションやArduinoなどのデバイスによる高度なフィジカル作品が登場し、これらは個人レベルでも高度なものづくりが可能となってきている。
 

第13回 (2009) アート部門 大賞「growth modeling device」David BOWEN
 
タマネギの地上部分が成長する姿を、3Dプリンターによる立体像として複製する動的なインスタレーション。「観察者」と「創造者」の役割を同時に果たすシステムは、レーザースキャナを用いて有機的に活動する自然を、限定的かつ機械的に投影された複製品=オブジェに変化させ時空間を生成。
 

第7回 (2003) アート部門 審査委員会推薦作品「プロセッシング」Ben FRY / Casey REAS et.al
 
マサチューセッツ工科大学(MIT)所属の研究者、ベン・フライとケーシー・リースが開発したオープンソースプロジェクト「processing」は、グラフィカルなインタラクティブ作品の制作において、幅広く使用されている。

10:ロボットとその周辺にある表現

家庭用エンターテイメントロボットから機械学習機能やAI(人工知能)によるロボットと共存する未来を示すエンターテイメント作品なども紹介。
 

第3回 (1999) デジタルアート(インタラクティブ)部門 大賞「エンターテインメントロボットAIBO(ERS-110)」『エンターテインメントロボットAIBO(ERS-110)』開発チーム
 
人間とコミュニケ一ションをとれる4足歩行の自律型ロボット。会場では実物展示が行われていた。
 

第16回 (2012) エンターテインメント部門 優秀賞「水道橋重工「KURATAS」」倉田 光吾郎/吉崎 航
 
巨大なロボットに乗り、自分で思いのままに操縦してみたい。そんな素朴で普遍的な人々の夢を実現した、高さ4m、重さ4tのロボット「KURATAS」。CG操作による全身駆動を可能にする制御ソフトの採用、未来感溢れるコックピットのUIなど巨大ロボに乗る、という夢の実現として、SNSでも大きなインパクトを与えた。

「文化庁メディア芸術祭20周年企画 – 変える力 」をとおして

 

いかがだっただろうか?受賞作品は、それも、色あせず輝いている様子は、その時々の時代を映しており、テクノロジーや表現方法の変化の中で、常に私たちに様々な体験やメッセージを与えてくれている。20周年という今回の企画展の中で、見えてくる様々な事柄と変わらずに私たちに投げかけてくれるものを感じていただければと思う。
 
メイン会場だけではなく、サテライト会場や関連企画、協賛企画もあるので、ぜひそちらもご注目いただきたい。

文化庁メディア芸術祭20周年企画展 – 変える力
会期 2016年10月15日 – 11月6日
会場 メイン会場:アーツ千代田3331
サテライト会場:NTTインターコミュニケーション・センターICC・UDX THEATER・国立新美術館 他
入場料 無料
主催 文化庁メディア芸術祭20周年企画展実行委員会