【REPORT】デジタルクリエイティブのカンファレンス「FITC TOKYO 2015」レポート!

FITC TOKYO 2015は、Adobeがリードスポンサーを務めるデジタルクリエイティブに関するカンファレンス。トロント、アムステルダム、東京、サンフランシスコ、シカゴ、ソウル、ニューヨーク、ロサンゼルスをはじめとした世界の各都市で開催されており、FITC TOKYO 2015では、世界で活躍するクリエイターを東京に招致させプレゼンテーションを行っている。

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※会場の日本科学未来館では、チームラボの「踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」も開催されており、沢山の人で賑わっていた。
 
今年は、2月7日(土)と2月8日(日)に日本科学未来館で開催!今回は、そんなFITC TOKYO 2015の模様をピックアップして皆さんにお届けしていきたい。

浅井 宣通 | VR 2.0 宣言
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浅井 宣通は「VR 2.0 宣言」と題し、フェイスマッピングなどの技術を使いインターネット上で話題を呼んだOMOTEの話からFACE HACKINGによる作品も合わせて紹介。その後、1968年、アイバンサザランドが提唱したVR(バーチャルリアリティ)から現在の様々な事例をもとにVR 2.0 宣言と題し、概念から実体へと変化したテクノロジー表現、そしてGearVRからハコスコを始め様々なデバイスの紹介、そして自ら考えるVR 2.0時代におけるコンテンツをプレゼンテーションした。
 

※OMOTE フェイスマッピングを使った映像表現はWebを始め沢山の話題を生んだ。

 


※FACE HACKING。サウンドと映像が同期し刺激的な表現になっている。

 
近年、注目されているVR技術。映像表現やインタラクティブな表現など、コンテンツのアウトプットの幅が広がりユーザーの体験が拡張されている中、我々の体感、経験という部分でどのような感動が生めるのか。そして、近い未来どのような形で進化していくのかを考える内容となったのではないだろうか。

ソウゲン・チュン Sougwen Chung | 自撮り(自身を媒体としたエクスペリエンス)の時代
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ソウゲン・チュンは、NYで活躍するアーティスト。オーディオビジュアルやインスタレーション、ドローイングなど様々な作品制作を行っている。今回は、自身のアーティストとしての作品制作のマインド、そして私たちの日常生活でも一般的になった、「自撮り(セルフィー)」を通して行われる体験から通して見えるアイデンティティや歴史など、様々な作品事例を加え解説を行った。
 


※インスタレーションとドローイングを組み合わせた幻想的な空間を作り出している。

 
「自撮り」を通したSNS上の自己表現は、その生活がオンラインに露出され、現実とWebの境界線が曖昧になっているということを前提に、「自撮り」が引き出す、パーソナリティーやアイデンティティーを、アルゴリズムによって数値化できるのではないかというプロジェクトの紹介や、また逆にそういったテクノロジーなどでは見つけることができない個性やユニークな部分、空白をアートを通して、どのような形で生むことができるのか、また、アートとテクノロジーの交差点でどのようにして作品を作るのかというプレゼンテーションを行った。

藤岡 定 | 「楽しさ」が生み出すクリエイティブ
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「楽しさ」が生み出すクリエイティブとして、自身の活動などを発表した藤岡 定。福岡のクリエイティブラボ anno labで活動する実制作やプロジェクトを通してプレゼンテーションを行った。自身が影響を受けたインタラクティブの作品や、同じく福岡で活動するインビジブルデザインと共に制作した「森の木琴」プロジェクトの紹介も。
 


※試作機で何度も検証を繰り返しトライしている様子は会場の注目を集めた。

 
また、OHP素材を利用したアナログ感とデジタル表現をかけあわせた「Perfume global site project」のanno lab制作の動画の制作の様子や、画像解析の技術を利用して制作され、アジア美術トリエンナーレにも出展された「時空間のしっぽ」など、楽しさから生み出されるクリエイティブとそれを仕事にしていくことをプレゼンテーションを行った。

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※アナログの良さとデジタルの表現のかけあわせという部分で、独特の暖かみのある表現を映像に加えることを目指したという。

Bradley (GMUNK) Munkowitz | 時空を超えた旅へのいざない
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GMUNKは、モーショングラフィックやインスタレーションなど様々な活動を行っているクリエイター。Flashクリエイターからモーショングラフィックやインフォグラフィック、インターフェースなど携わったプロジェクトを通したキャリアの紹介として、映画のUIモーションやインフォグラフィックの話や、また近年では、インスタレーション、特にレーザーリフレクション、鏡やアクリルの光の屈折、そしてLEDを多用した照明表現などを応用した映像撮影の紹介など、光と各種マテリアルの表現による関係性についてなども、プロジェクトの事例を紹介しながら説明した。
 


※Adobeのロゴグラフィックによるムービー作品。アクリルなどのマテリアルと光の屈折で表現の説得力を作り出している。

 


※TychoのMVでは、LEDなどの光の演出などを加えサウンドの世界観をビジュアルで伝えている。

 
これらの自主制作から始まった実験的な表現は、AdobeのロゴグラフィックのムービーTychoのMVなどのプロジェクトの撮影に使われている。また、Web上でも話題になったプロジェクションマッピングのムービーでBot & Dollyの「Box」の制作秘話も解説を行い、実世界と映像の境を越えた驚きの秘密も解説し会場を楽しませた。
 


※Boxは、マジックの要素を加え、まるで、物質が自由自在に変化しているかのような錯覚表現を映像で作り出している。

 

Baiyon | 音からゲーム、そしてインタラクテイブアートへの旅
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Baiyonは京都で活動を行っているマルチメディアアーティスト。音楽の活動とレーベルの経験から、VideoGameにおける自身の活動まで自身が行いたい表現についてプレゼンテーション。

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※音楽やグラフィック、そしてゲームまで様々な表現領域での多彩な活動を感じられるプレゼンテーション。
 
音楽を、世界観を表すアートワークを始めとしたトータルで楽しんでもらう方法が、たまたまVideoGameだったという彼の表現活動のルーツから、京都から海外へというキャリアの話などオーディエンスに刺激的な時間を提供してくれた。
 


※コントローラーの動きに合わせて音が変化し、音楽が作られてく様子がわかる

 
例えば、Pixel JunkEdenではアートディレクター、サウンドディレクターを担当した話、また、4amのようなビジュアライザーについてのクリエイティブのこだわり、iOSゲームのFOTONICAなど音楽とビジュアルが交差する魅力的なクリエイティブに会場の注目が集まった。
 


※FOTONICAでは、iOS版の楽曲を提供。

 
ライブで感じる瞬間やテクノロジーの完璧さだけではなく、余白的なものはアートワークや音楽でも同様でアナログとデジタルの良さ、そして技術と寄り添っていきながら自分なりのアプローチとっているという彼自身の取り組みは共感する部分があるのではないだろうか。

デビッド・オライリー | デビッド・オライリー講演 The David OReilly lecture
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映像クリエイターのデビッド・オライリーのプレゼンテーションは、スライドや映像、音などの要素を排除し、アーティストとして活動することアーティストはどうあるべきかという純粋なトピックに関して会場に投げかける形でスタート。肩書きやキャリアといった私たちの日常でも決められた枠組みや固定概念について問い、テクニックやアイデアを生み出すことについてなど、アーティストであること、そしてクリエイティブに関わることについて、デビッド・オライリーが考える「アーティストはどうあるべきなのか」という内容を発表した。
 
例えば、芸術の歴史はテクノロジーやアイデアの歴史でもあり、現代も同じように沢山の創造的なツールが生まれているという事実に対し、そういった多すぎたテクノロジーには、選択や過程に身を置くことが多くになりがちで、それらは必ずしも芸術作品の幅や広がるわけでもなく、最新技術に寄り添う必要もないということ。また、何が新しいのか自分を理想をつきつめるとそこが重要でないのではないだろうかという投げかけや、自分のキャリアやバイオグラフィーをSNSやポートフォリオなどに記述され強制される時代になった時代だからこそ、自分自身が常に現在進行形で存在が更新されていることを意識し、そういった存在だからこそ、常に可能性に満ち溢れていることという内容で、現代のクリエイティブの活動に対して改めて見つめ直すプレゼンテーションとなっている。

FITC TOKYO 2015 は、オープニングのムービーもかっこいい

 
※カンファレンスが始まる際のオープニングもクール。作品はスピーカーとしても登壇したアッシュ・ソープによる制作だ。
Cod.Act | 動きとサウンドの関係を研究
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Cod.Actは、音響彫刻や音響インスタレーションという形で活動しているアーティスト。建築家・造形家であるミシェルと、音楽家であるアンドレによって17年前に設立し、文化庁メディア芸術祭では大賞を2度受賞するなど、彼らの作品を目にしたことある方も多いだろう。
 


※「Cycloid-e」筒型の形状のオブジェクトが回転し、先端のスピーカーからサウンドが発せられる。

 
今回は、そんなCod.Actの作品である「Cycloid-e」と「Nyloïd」の制作についての解説をおこなった。彼らは、メカニカルもサウンドも波長を持ち、それぞれの調和(ハーモニー)をどのようにしてつくるのかということに焦点をおいて、メカニカルな機構やギミック、素材やそこから生まれる、オブジェクトの動きについてのプロトタイピングなどの制作の様子を説明。また、作品から発生される音は、音楽として成り立つように細かな調整や設定をされてる様子も伝わる。

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※不安定で予期できない有機的な動きを作り出そうと、素材の選定やアクチュエータの動きの検証を重ねた「Nyloïd」。当日では試作機の様子もあわせて紹介された。
緒方 壽人 | デザイン・イノベーションの振り子
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takram design engineeringの緒方 壽人は「デザイン・イノベーションの振り子」題し、デザインとエンジニアリングの両方、ソフトウェアとハードウェアの両方、またデバイス、プロダクト、サービスデザイン、様々な領域で活動するtakramでのプロジェクトを紹介。

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※Processingによる羽ばたきのシュミレーション。複数の値を組み合わせることで動作の確認を行うことが出来る。
 


※より薄く新しい素材として注目を集まっている有機ELを使用したプロジェクト。

 
福島の子供達の内部被曝を計測する検査装置「BABYSCAN Project」のモックアップ制作からの気づきや体験の事例紹介やコニカミノルタの有機EL照明をつかった「Cradle of Light」などものづくりの仕組みやデザイン的解決のアプローチを解説してくれた。
 

紙の上に映像を投影するインタラクティブな作品「ON THE FLY」。YCAMで行われたミニマムインタフェース展で、グラフィックデザイナー水野学との会話からヒントを元に制作。様々な場所にヒントがあるという興味深い事例を紹介した。

リカルド・カベッロ Mr.doob | リアルタイムの実現 Achieving Realtime
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Mr.doobこと、リカルド・カベッロは、2011年に行われたFITC以来の登壇。Google ChromeがWebGLに対応しブラウザ表現が広がった今、国際的な表現文化となっているDEMOシーンにおいて、Webという表現領域の中で様々なテクノロジーの進化と自身も研究を進めている様々なツールの可能性を紹介。
 


※リアルタイムレンダリングによって表現されたデモによる映像。3Dによる描画によってクリエイティブの可能性が広がったことを伝えている。
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※ジェネレイティブな表現を始め、ブラウザ上のクリエイティブを広げるためのツールを紹介。
 
例えばThree.jsやcru.ci.form、Texgen.jsなどブラウザ上で行われる3D表現やリアルタイムレンダリング、また映像のシークエンスを操作しコンテンツを作るツール開発を通して行われるDEMOシーンへの可能性を感じることが出来る。

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※VRコンテンツをブラウザで。Oculusを装着し楽しめるようになるとのこと。
 
また、近年ではVRコンテンツも盛んであることや、ブラウザ上でもmozillaのWebVRを始めたにより、3DとVRコンテンツがより活発になっていくとの期待感を感じられる。こういったDEMOシーンは、日本でもTokyoDemoFest 2015というデモの祭典が行われるので、ぜひこちらも注目して頂きたい。

やんツー yang02 | 創造性を創造/生成する
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メディアアーティストとして活躍しているyang02。今回は「創造性の創造?生成?」ということをテーマに自身の創作活動のルーツや、メディアアート制作における思考や考え方についてプレゼンテーションを行った。

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グラフィティカルチャーに影響を受けながらも、そういった表現が「スタイルウォーズ = パクリの応酬」ということ、また書籍「シミュレーショニズム」における考え方から独自のプロジェクトをスタートさせ、渋谷の街を自転車で駆け巡りGPSによりアルファベットを生成する「Urbanized Typeface」や機械による描くという行為に対するドローイングマシンプロジェクト「落書きのための装置」や「SENSELESS DRAWING BOT」「SENSELESS DRAWING BOT #2」など、アーティストの創造性とルーツ、また現代における描くということについて語った。
 


※GPSを利用したタイポグラフィや機械によって描くドローイングマシンのプロジェクト。

 

札幌国際芸術祭2014でも展示された「SEMI-SENSELESS DRAWING MODULES」の解説。抽象画家が意識せずにおこなっていることと同様ではないかという疑問から、機械をライブペインターとして見立て、観客の反応で描く絵が変わっていく様子を作った。仕組みは、センサーのセンシングによってモジュールが移動し絵を描いていく。出来上がった作品は、素敵な絵が描かれていた。

マリオ・クリングマン Mario Klingemann | 秩序の喜び The Joy of Order
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コードアーティストで、ジェネレイティブな作品を作るマリオ・クリングマンは、「秩序の喜び」と題し自分の大好きな「秩序」についてプレゼンテーションを行った。#bldigitalというブリティッシュライブラリのプロジェクトをベースに大量にアーカイブされた書物のイメージをどのようにして秩序をつけていくのか、カテゴリをつけていくのかということについて、アルゴリズムとして考えるための考えを解説している。

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※ブリティッシュライブラリに収蔵されている書物は沢山のイメージがある。秩序をもたらすことにより様々な発見を見いだすことが出来る。

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サイコロを例に、新しさやサイコロの大きさ、色(色の明るさ)など様々な方式で分類することで秩序の様子が見えるようになったり、一見、面白くないように見えても、複数のオブジェクトに対して秩序があれば興味を生み出すようになるという説明の通り、秩序に対しての規則性や方向が視覚化されていた。

アッシュ・ソープ Ash Thorp | アッシュ・ソープ(Ash Thorp) – クリエイティブディレクタ、デザイナー、アーティスト
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映画のオープニングやアートワークを手がけるアッシュ・ソープ。今回は、自身のキャリアと作品づくりの過程について作品の例を紹介しながらプレゼンテーション。「もっとも恐れていることこそ、もっともする必要がある」というティモシー・フェリスの言葉からスタートし、自身が生み出すクリエイティブとその情熱について語った。
 


ENDERS GAME では主人公の心を読みクリエイティブ変えるためのコンセプトアートに挑戦。

 

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HOMAGE TO GHOST IN THE SHELL」では、200枚以上のポスターの制作やスイスグリッドや日本のデザインを組み合わせたりし、より世界観のクオリティをあげるためにトライした。リドリー・スコットの「エイリアン」の影響も受け、大好きなアニメの世界の仕事に没頭したとのこと。
 


※FITC TOKYO 2015のムービー。このワークフローは、Motiongrapherのこちらの記事もご参照頂きたい。

 
その他、トータルリコールや、X-MENなどの映像のクリエイティブの仕事も多数紹介され近年では、「LOST BOY」というプロジェクトも進行中でアキラの影響など日本のカルチャーが好きなアッシュ・ソープの活動に要注目だ。

真鍋 大度, 石橋 素 | アートとプロトタイピング
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ライゾマティクス真鍋 大度石橋 素は、過去の仕事やプロジェクトの紹介から近年の自分たちの制作の流れから自分たちがチャレンジしている実験的取り組みと、それがアート作品やプロジェクトワークへと変化していく様子を事例を見せながら紹介。

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2004年頃の仕事から近年のプロジェクトなども紹介。当時はライブの仕事より展示の仕事がほとんどだったようだ。写真のコンテンツは、カメラが認識して7秒前の過去の映像が表示される内容のもの。映像と人の関係だったり、テクノロジーとしてのこういった関わり方はある程度、確立されており、現在はキネクトが使われることが多いが、昔は、Webカメラであったりコンテンツは変わっても、テクノロジーの関わり方は変わらないことから、一歩先になんとかしていきたいという思いがあった。そこで、沢山の実験を進め、その中でのブレイクスルーに挑戦をしていったとのこと。
 


※蓄光シートを買ってきて、レーザー照射によってポートレートが浮かび上がる作品。最初は、ヒモでぶら下げたレーザーを照射し実験を行った。

  


※ボールの制御や光り方を考え、レールにのせて作り出した「particles」
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ミシンをハッキングし140文字程度のコードでTシャツのパターンをつくることができる「Pa++ern」。ミシン自体がクローズドなものなので、DSTという刺繍のファイルをミシンに読み込ませ作り出した。
こういった、Webの参加型プロジェクトだったり様々な実験が今のプロジェクトに影響されているとのこと。これらの実験や面白い発見をクリエイティブに活かすという点で発見が多いプレゼンテーションだったのではないだろうか。

See You Next FITC Tokyo !
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最先端のテクノロジー技術から、テクノロジーとクリエイティブが混ざり合うアプローチの話や、各クリエイターの活動やキャリアについて、またクリエイターとしてのマインドの話題まで様々なトピックが盛りだくさんだった今回。沢山の刺激やインスタレーションを得た方も少なくないだろう。次回のFITC TOKYOもぜひ注目していきたい。

FITC Tokyo 2015
イベント開催日時:2015年2月7日(土)-8日(日)13:00~18:35(予定)
会場 : 日本科学未来館 東京都江東区青海2-3-6
アクセス詳細はこちらから