【INTERVIEW】ワンカット撮影で話題!あららら「さよならせかい」PV監督は2人の学生

インターネット上で話題になった札幌を拠点に活動するバンド あらららの曲「さよならせかい」。ワンカット映像と出演者の動きによってストーリーが展開され、誰もが一度は訪れたことがあるはずの学校の体育館で流れる作品の様子は、あらららというバンドの曲の雰囲気と印象を伝え、札幌国際芸術祭2014札幌国際短編映画祭などでも上映された。今回は、そのPV作品を制作した吉村佑馬さんと横山航さんの二人に映像制作の様子や作品の世界観について伺った。


あららら「さよならせかい」PV
この度はインタビューの機会を頂きありがとうございます。さっそくですが、今回どのような経緯でPVを制作することになったのでしょうか

横山:ともだちにバンドが詳しい子がいて、その人があらららさんと仲良しでお話を頂きました。
それで、さっそく作ろうということになり、自分たちも初めてのPV作成ということで映像をつくっている吉村君に「一緒につくらないか?」という形で声をかけて、今回、二人でタッグを組んで作ることになりました。

作品では、体育館という舞台でセットを使われていましたが、あのような映像表現を最初から目指そうとしていたのでしょうか。
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横山:仕掛けがあったりワンカットで撮影するようなPVや映像作品が元々好きで、着目していました。あらららさんのかわいらしかったり、楽しい感じの世界観を出すために、変にデジタル表現などで作り出した表現ではなく、自然な感じを出したいという気持ちもあって、ダイレクトに表現するために今回のような手法を取り入れました。

それは、楽曲をもらったタイミングでこれでいこうと思ったのでしょうか?
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横山:そうですね。こういうのを作ってほしいというよりは、自分たちでこれでいきたいという感じであらららさんに提案して進めました。実際に提案すると、自由にやらせてもらえるように進んだので、最大限楽曲の世界観を引き出そうと考えました。

そうだったんですね。撮影で使われたコンテや映像撮影の流れなどをまとめた資料もたくさん用意されているんですね。
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吉村:こんな感じで進めたいという様子や流れを、人の導線など動きをきめて撮影できるように資料をつくり、撮影のプロットをちゃんとすすめられるようにしました。実際にスムーズに制作を着手できるように、アイデアの考え始めから撮影まで、放課後や授業の合間をつかってつめていきました。

撮影の際では、世界観を表現するために小道具などもつくられたんですか?
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横山:小道具に焦点をあてて作らず、けれどもしっかりと豪華に映像をみせられるように、学校にある道具などを集めて、映像の素材として、これは撮影に使えるかな?という形で選んでいき、撮影のアイデアを話し合い、撮影に繋げられるようにしました。また、おばけなど衣装に関しては服飾系の友人の協力を思い切ってお願いして撮影を実現させました。

たくさんのスタッフが関わっているんですね。結構、撮影回数は多かったんでしょうか?
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横山:実は、部分ごとのカットのリハーサルを何回も行い、短い回数での通しで、本番の撮影にのぞみました。そして撮影本番当日は、学校や出演者などの都合上、深夜の学校を借りて深夜での撮影になり、複数回のテイクで収まるように挑みました。

深夜の学校で撮影を行ったんですね。終わった後はそのまま学校だったんですか?(笑)

吉村:夜中の三時とかに終わり、その後は皆で鍋とかをして、打ち上げをして過ごしました。(笑)

楽しそうですね。撮影での役割分担は決まっていましたか?
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吉村:企画進行が吉村で、アイデア出しや撮影を横山が行いました。照明などもこだわりたくて後輩にも手伝ってもらい、ここにスポットをあてたいというような感じでシュミレーションを何回もトライし、雰囲気の流れをつくれるようにしました。また、バンドの方が実際に撮影前に進行ができるように、カメラの流れなどの準備を進め何度もチェックを行っています。

撮影と編集という作業では、どちらが大変でしたか?
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横山:撮影時の実際の進行の流れをつくるところが一番大変でした。ワンカットでの撮影という形である以上、実際に人の配置などをきめていく必要があったので、アイデアの実現を撮影できる仕組みづくりが力を入れたところです。普段、映像なども手書きのアニメーションが多いのですが、このように絵コンテを作成し撮影を行ったのもはじめてでした。

映像制作のアイデア出しにおいて参考にしたものや影響されたものはありますか?

吉村:さよならポニーテールさんの、アルバム収録曲のトレーラーをワンカットで一つの部屋で撮影した「青春ファンタジア」やPhenixさんの「Trying To Be Cool」は企画としては近いものがありました。bomiさんの「ビューティフォー」は明るさだったり雰囲気は影響をうけたりしていました。普段、僕らはVimeoなどで映像作品はよく見ており、likesなど近しい作家さんなどのレコメンドを使って探ったりして、海外プロダクションの映像などもよく見ています。余談ですが、横山君は、スペインの「canada」っていうプロダクションがお気に入りです。(笑)

なるほど。そういった映像作品の文脈も意識して制作したんですね。リリースして嬉しかったことはありましたか?

吉村:札幌国際芸術祭の地下歩行空間のプログラムや札幌短編映画祭のミュージックビデオなど上映させていただきました。初めてつくったPVが国際的なイベントで上映されてたくさんの人に見てもらったことは光栄でした。また、音楽関係の方からも反響があり嬉しかったです。

そうだったんですね。「さよならせかい」は、あらららさんのPVとして今回が初めてだったんですか?

吉村:ライブ映像とかはあるんですが、ちゃんとしたPVははじめてでした。実際に撮影してから自分たちもあの曲がさらに好きになった気がします。

もし、また違う形で何か映像制作をするとしたら、どんなものをやってみたいですか?

吉村:自分は、ファッションムービー、例えば化粧品だったりブランドムービーみたいなのを撮影してみたいなと思ってます。ショートームービーとミュージックビデオみたいなものの間みたいなのもやってみたいです。

横山:もっとたくさんの人をつかったり大きな場所で撮影したものにチャレンジしてみたいです。海外の映像作品みたいな形でやってみたいと思っています。

幅が広く面白そうなチャレンジですね。二人が今後制作において、大切にしているスタイルみたいなものはあるのでしょうか。
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吉村:自分は制作をつくるというより進行や企画という部分でのスタンスを詰めていきたいです。

横山:デジタルよりアナログの方が好きで手間かかるけど、個人制作でもクオリティが高い、見ていて伝わる表現がしたいです。

今後の続編や新しくPVを撮影することは考えていますか?

吉村:年度末の残された時間で新作をやりたいなーという気持ちもあったりしてるのでうまいこと挑戦したいと思っています。

インタビューを終えて

近年のデジタル技術の革新や映像制作の幅が広がる中、こういったダイレクトな撮影手法をベースにバンドのミュージックビデオをつくるという活動が非常に新鮮にうつる。また、映像作品に出会うための窓口がVimeoやYouTubeといったインターネット上のサービスをベースとしており、そういった流れを受けつつもあえて、対比的にリアルな映像の仕組みづくりを行った上で撮影している点も特筆すべきだろう。近年、国内外でプロ、インディーズ問わず様々な映像作品がつくられサイネージを始めとした公共空間や映画館など、たくさんの機会の中で非常に映像作品をつくるモチベーションが高い印象も感じた。「さよならせかい」の映像クリエイター、二人が持つそれぞれのポテンシャルと今後の作品や活動をぜひ注目していただきたい。

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