【INTERVIEW】”壮大なおままごと”に巻き込む謎の女子クリエイター集団「チーム未完成」

謎の女子クリエイター集団が密かな注目を集めている。
 
アジア最大級のアートブックフェア・THE TOKYO ART BOOK FAIR 2014(9月19日~21日、以下TABF )で彼女たちが販売したZINE『パン』が完売を果たし、一躍ウェブメディアなどで取り上げられる存在となった、”イケイケ世代のイケない女子によるちょっぴりイケてない制作活動”を掲げる「チーム未完成」。一切の顔出しはなく、構成メンバーが4人ということぐらいしか、彼女たちの具体的な情報はない。

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恐らく世界初となるパンを被写体としたZINE『パン』は、ページを開くと共に芳醇な香りとノスタルジックが漂い、生活を安心で満たす日常に、まるで蛍光色のジャムを塗ったような全28ページの甘い、非日常が広がる。小学校から高校を卒業するまで2枚のトーストとミルクティー1杯の朝食を毎朝欠かさず繰り返してきた筆者の、まさに”日常”であった記憶がその蛍光色のジャムで塗りつぶされる、衝撃的な1冊にもなった。

 

VORDERMAGAZINE記念すべき第1回目のインタビューを、Skypeを通じて「チーム未完成」の4名に行った。

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-まずは自己紹介からお願いします。

 

しをりん「チーム未完成の見切り発車担当。じょうねつレッドはめんたいこー!リーダーのしをりんことさとうしをりでーす」

 

ゆりしー「うれしーかなしーわたしは?(一同「ゆりしー!」)チーム未完成の文部科学省担当、ブルーライトヨコハマー!ゆりしーことゆりしーです」

 

ぴっかぱいせん「機材担いで右往左往。みんなのハートをシューティング!チーム未完成の大きい方、せんべイエローぴっかぱいせんです♡」

 

スナックみつ子(以下みつ子)「夕べの人が吸っていた、煙が~古傷(きず)に染み渡る~♪今夜も夢の中で開店中、チーム未完成の紫担当、スナックみつ子でございま~す!」
一同「みっちゃ~ん!」

 

-ありがとうございます。なぜこの自己紹介にしようと?

 

しをりん「アイドルが好きなんで」

 

-なるほど。では結成の経緯を教えてください。

 

しをりん「全員私と個々に繋がっていたけど、最初はここ二人(ゆりしー)だけで始めたんです」

 

ゆりしー「二人でなんかやりたいねっていう話を漠然としていて。そもそもはパンを使ったケータリングユニットをやろうとしていたんです。でも一回試作会をやってみたら、一回目にしてパンを食べ過ぎて『もうパン食べたくないよね…』って感じになってしまって」

 

しをりん「行き詰まっていたところで、カメラマンのぱいせんに声をかけて、初めて3人で集まったんです」

 

ぴっかぱいせん「その日にお酒を飲みながらぐだぐだ話してたら、もうパン食べなくても置いて撮ればいいんじゃない?ってなって。そしたら大喜利みたいにプリクラ撮ろうとか滑り台で滑らせようとか、回転寿司のレーンに乗せて回したいとか、パンで撮りたい設定が無限に出てきて。今すぐ撮りたい!ってなって、そのまま街に繰り出して撮影しました」

 

-『パン』に落とし込むまでは割と早かったんですか?

 

しをりん「元々ぱいせんがTABFに個人で出す予定だったところに、いいタイミングでチーム未完成を結成したので、とりあえずそれを目標に、まずはZINEを作ろうと思って」

 

-パンを使った表現としてZINE以外に考えていたこととかありますか?パンだったら本にするっていうのがゴールでしたか?

 

ゆりしー「いや、アートブックフェアだからZINEってだけで。当初ケータリングをやろうとしていた時にレシピ本を作ろうっていう話をしたりはしましたけど、最初からZINEを作る目的でやっていたわけではないです」

 

しをりん「今後もずっとZINEを作り続けるかっていうとそうでもない」

 

-チーム未完成の目指すところは?

 

しをりん「かっこつけたりお金をかけたり、特別なことをしなくても、いくらでも日常のなかには楽しめることがある、っていうのをふざけながらやってる感じです。壮大なおままごとなんですよ。”ごっこ”っていうか。今インタビューされているこの様も、”アーティストごっこ”っていう。ZINEを作って出すのもアーティストごっこだし。イベントに出たりするのもお遊戯っていうか。うちらの”ごっこ”にみんな参加してもらって、みんなでおままごとしている風にしたい」

 

ゆりしー「TABFでは、『チーム未完成がパンまつりをやっている』というコンセプトでZINEを売っていたんですけど、そうするとお客さんも『そういえば今パンまつり中ですよね!』って乗ってくれたりして」

 

-じゃあそういうリアクションはチーム未完成としては一番嬉しいリアクションなんですかね?

 

しをりん「そう、既にそこで私たちの遊びに参加しているっていう。前に別のインタビューをしてもらった時には、インタビュアーの人も『パンの謙虚な姿があらわれてますね!』なんてよく分からない発言をし始めたりして、面白かったですね」

 

ゆりしー「そうなるとこれこれ~!ってなるよね」

 

-次にやりたいと思っていることはありますか?

 

しをりん「えーと、ラップ」

 

-ラップ?

 

ゆりしー「ラップがしたい」

 

しをりん「あとジャンボかるた大会」

 

ゆりしー「ラップとジャンボかるた大会と」

 

しをりん「あと店!ネットショップはすでにあるんですけど、リアル店舗で、『水(温かい)』『水(冷たい)』とか『米』とか『麺』みたいなメニューを出す店をやりたい」

 

-まず何から聞いていいか分からなくなったのですが…なぜラップを?

 

ゆりしー「私が2年ほど前からラップをやりたいと思ってて。未完成を始めたから、未完成でやるしかないと思って、今トラックメイカー募集中です」

 

しをりん「もう少し噛み砕くと、ゆりしー以外にもみんな個々に何かしらやりたいことがある人たちだったというのがあって、けど一人だと限界がある。チーム未完成っていう受け皿ができたことで、思いついたことをなんでもチーム未完成に投げれるようになったんです。その流れでラップやりたい、みたいな話もあって。それとゆりしーはテキスト大臣でもあって、チーム未完成の中ではテキストを考える人でもあるので」

 

ゆりしー「『パン』のインタビューも私が書いたりして」

 

しをりん「ある意味リリックを書くっていうね。チーム未完成のグループLINEで常日頃アイディアを出しているんだけど、そこでゆりしーのフリースタイルが出てきて、ラップが飛び交ってるんですよね。LINEで私が『ほんと”そう”、新たな”層”に届き”そう”』って送ったら、ゆりしーから『仮装で火葬して欲しそうな僧侶を見ている私そう健忘症』って返ってきたりして」

 

ぴっかぱいせん「こういう思いついたネタをなんでもすぐに送りあうのがチーム未完成」

 

-なるほど。。ジャンボかるた大会は?チーム未完成主催のジャンボかるた大会みたいのをやりたいんですか?

 

しをりん「音楽にしろ何にしろ、ピンポイントの人たちをターゲットにしたイベントはたくさんあるんですけど、カルチャーとか関係なく、どんな”層”の人たちでも楽しめ”そう”な…笑。みんなが自由に参加できることをやりたくて。『風雲!たけし城』みたいなバラエティでやっているようなことを実際にやりたいなと思ったときに、年明けだったら『新春ジャンボかるた大会やりたいね』っていう話になって」

 

ぴっかぱいせん「うちらはダンボールを使って表現する事が好きなんですが、ひとり1枚ダンボールに絵札を書いて持ってきてもらったら、お金もかからないし置く場所もいらないし、楽しそうだねって」

 

しをりん「みんながみんな、大きなジャンボかるたを持って集まって遊んでるのって超ピースじゃないですか?」

 

ぴっかぱいせん「それで読み上げられたら超ダッシュで走るみたいな。笑」

 

しをりん「だからなんかコアな人に受けたいとかっていうのはないですね」

 

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-ちなみに数あるパンから”超熟”を選んだ理由は?

 

しをりん「イーストフード、乳化剤は使っていないから。あと、そもそもおいしい」

 

ぴっかぱいせん「もともとみんな超熟だったね」

 

-割とこだわって選んでるんですね?

 

ぴっかぱいせん「そうですね。今は超熟6枚切りオンリーです」

 

しをりん「私たちめっちゃ買ってますよ超熟」

 

ゆりしー「信じられないぐらい買ってる」

 

しをりん「一昨日も4袋買いました。ひとり1袋買って撮影しました」

 

-では先日から発売している『パン2』について教えてもらえますか?

 

しをりん「ボリューム的には前回と同じぐらいですね。今回はファッション系です」

 

-ちょっとエッジの効いた感じですか?

 

ゆりしー「街でおしゃれな人に声をかけて、超熟を持ってもらってスナップをとりました。表紙は池田ひらりちゃんっていうガチのファッションスナップに出ている子に偶然声をかけて撮らせてもらったんです」

 

ひらほー

-ガチですね。。

 

しをりん「本気でおしゃれな人がパンを持っていると、日常のなかにあるパンとは違うものに見えるんですよね。『パン2』でも、パンをパンじゃない何かに見えるようにしたかった」

 

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sugar’s campaignでもメジャーデビューをした大阪のトラックメイカーSeiho氏が表紙を飾る。

チーム未完成さん(@mi_kan_sei)が投稿した動画

こうして見ても人脈の広さに加え、その人たちが既にチーム未完成による盛大な「ごっこ」に巻き込まれているのがわかる。だが見ていてもバカバカしさは感じないのは、ひとつひとつのクオリティの高さからくる説得力かもしれない。

 

-チーム未完成の作品を見るとプロの犯行っていうのを感じるんですよね。プロの悪ふざけというか。

 

しをりん「へええ」

 

-写真のクオリティとかHPの抜け感とか、デザインのちょいダサ具合いとか。トレーナーのデザインとかからも感じますね。

 

しをりん「狙ってはないよね」

 

ぴっかぱいせん「今欲しいものをやってる感覚」

 

トレーナーなどのグッズは「チーム未完成の店」で購入できる

“荒川智則”のような、物理的な存在ではない集団にも感じます。

 

しをりん「あー概念だ」

 

ゆりしー「人数とかがどんどん多くなっても面白いなと思う。『チーム未完成って今は6人なんだ』みたいな」

 

しをりん「スナックみつ子の名前も毎年変えようっていう話もしていて。元旦の日に命名して、今年はこうなったんだ~とか」

 

-アイディアは尽きないですね。

 

しをりん「アイドルってすごい新陳代謝があるじゃないですか。常に人数が変わるし、卒業するとか、恋愛沙汰で抜けるとか。女子ってそういう感じじゃないですか常に。その時だけ!みたいな」

 

-学校でも女子のグループはそうでしたよね。次の日行ったらあの子があの子のグループに入ってるとか。

 

しをりん「気まぐれ感というか、そのときだけの瞬発力っていう」

 

-なんかすごいしっくりきました。

 

しをりん「逆に質問していいですか?」

 

-どうぞ

 

しをりん「VORDERMAGAZINEはどういうメディアですか?」

 

-テーマがアンダーグラウンドとオーバーグラウンドの間をボーダーグラウンドとして、中間のおいしいところにいる人や情報を紹介するメディアとして立ち上げました。

 

しをりん「おいしいとこどりしたいですね!パンだけにね!」

 

-そうなんですよ。すごくピッタリだと思ったんですよね。パンの1冊を見て上も知ってるし下も知ってるっていう、遊べてる感を感じて、お声かけしてもらいました。

 
一同「恐縮です」

 

-では写真撮らせてもらってもいいですか?…ってとんぼせんせいじゃないですか!

 

しをりん「この前会ったの!会おうと思って!それでこれ書いてもらったの。なんかみつ子のだけヨレヨレだよ」

 

(しばらく”超熟”をセッティグ)

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(向かって左から ぴっかぱいせん スナックみつ子 ゆりしー しをりん)

 

 

しをりん「表情とか大丈夫ですか?」

 

-ちょっと硬いですね。

 

しをりん「初めてだからね」

 


スクリーンショットでの撮影が終わり、”アーティストごっこ”のインタビュアー役としてSkypeを切った。
 
かつてインターネット上で溢れかえった荒川智則のような目に見えない不気味で大きな存在感と、刹那的な女の子たちの想いや行動、そしてよく女子高生たちに見られるような日常にカーブをかけた「よく思いつくな」感のある柔軟なクリエイティビティが交わる集団でありながらも、「やりたいことしたい」という直球な想いの中で”ちょっぴりイケてない”、未完成であるがゆえの美しさや切なさ、純粋さが溢れているのがチーム未完成の魅力だと思うとともに、まるごと彼女たちの”ごっこ”に巻き込まれたインタビューとして第1回目の終わりとします。

 
チーム未完成の新作『パン2』は現在発売中。

チーム未完成 2nd ZINE「パン2」
発売日:2014年12月19日
価格:600円(税込) A5判、20P
 
【Website】 http://mikanseimikansei.tumblr.com/
【Twitter】 @mikanseisei
【Instagram】@mi_kan_sei
【Facebook】 https://www.facebook.com/teammikansei
【チーム未完成の店】http://mikanseisei.thebase.in/